所得税‼️令和2年分の確定申告から適用される改正事項‼️
1.はじめに
令和2年分の確定申告の受付は、令和3年2月16日から3月15日までです。今回は令和2年度の所得税の確定申告から適用される改正事項を要約してご説明します。
ちなみに確定申告書を電子申告する場合は、3月15日までの間、24時間申告書を送信できますのでご活用ください。
2.令和2年度改正事項
①給与所得控除の見直し
②配偶者、扶養親族等の所得要件の調整
③基礎控除の見直し
④所得金額調整控除の創設
⑤ひとり親控除の創設
⑥寡婦(夫)控除の見直し
⑦青色申告特別控除
⑧ 令和2年分の所得税申告書押印不要へ
3.解説
①給与所得控除の見直し
→令和2年分以降の所得税から、給与所得控除が一律10万引き下げられました。
所得控除の上限額は、195万円となります(給与収入金額850万円超の場合)。
②配偶者、扶養親族等の所得要件の調整
→①の引き下げに伴い、扶養親族等の合計所得金額要件の調整が行われます。
・同一生計配偶者、控除対象配偶者、扶養親族の合計所得金額の要件は、48万円以下(給与収入金額で103万円以下)に改正。
・配偶者の特別控除の対象者となる配偶者の合計所得金額要件は、48万円超〜133万円以下(給与収入金額103万円超〜201.6万円未満)に改正。
・勤労学生の合計所得金額要件は、75万円以下(給与収入130万円以下)
③基礎控除の見直し
→一率38万円控除から下記に変更。
給与所得控除額が10万円引き下げられた一方、基礎控除額は一率10万円アップしました。
ただし、所得金額が2400万円を超えると、段階的に引き下げられ、2500万円を超えるとゼロになります。富裕層には厳しい税制改正ですね。
《合計所得金額》 《基礎控除》
・2400万円以下 → 48万円
・2400万円超〜2450万円 → 32万円
・2450万円超〜2500万円以下 →16万円
・2500万円超 → 0円
④所得金額調整控除の創設
→給与所得控除等の見直しにより次のA又はBに該当する人は、見直し前に比べて所得金額が増加します。そのため、一定の要件を満たした場合に所得金額が控除されます。
《A》給与収入金額850万円超の人
《B》給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方の合計所得金額が10万円超える人
・《A》給与収入金額850万円超の人の場合
給与収入金額850万円超の人で、(ア)から(ウ)のいずれかに該当した場合は下記の金額を限度に所得が減額されます。
《調整額》
(※給与収入金額−850万円)✖️10%
※給与収入金額は1000万円が限度。
(ア)本人が特別障害者
(イ)23歳未満の扶養親族がいる
(ウ)特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する
《B》給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方の合計所得金額が10万円超える人
《調整金額》
(※給与所得控除後の給与金額➕※公的年金等に係る雑所得金額)−10万円
※10万円を超える場合には10万円
⑤ひとり親控除の創設
→婚姻歴に関係なくすべての1人親を対象とするひとり親控除が創設されました。
《ひとり親控除とは》
ひとり親控除とは、次の要件を満たす居住者がひとり親に該当する場合に、その年分の総所得金額等から35万円を控除します。
(ア)生活を一緒にしている総所得金額48万円以下の子供がいる場合
(イ)合計所得金額500万円以下
(ウ)事実上婚姻関係と同様の事情にあると認めれる者がいない(住民表に一定の記載がある事実婚の夫や妻がいないこと)
⑥寡婦(夫)控除の見直し
改正後の寡婦は、男性の1人親と女性の1人親の扱いが同じで、合計所得金額500万円以下と事実婚約者がいないことが要件となります。
《要件》
(ア)夫と離婚した後の再婚していない者で、次の要件を満たすもの
・⑤のひとり親に該当しない
・合計所得金額500万円以下
・扶養親族あり
・事実婚と認められる者がいない
(イ)夫と死別して再婚してない者等で次の要件を満たすもの
・⑤のひとり親に該当しない
・合計所得金額500万円以下
・事実婚と認められる者がいない
⑦青色申告特別控除
青色申告特別控除が65万円から55万円に引き下がりました。ただし、確定申告書の提出期限(2021年3月15日)までに電子申告をすれば、控除額は65万円となります。
⑧令和2年分の所得税申告書押印不要へ
令和3年度税制大綱で、税務関係書類における押印義務の見直しが行われました。
今回の見直しにより、令和2年分の所得税の確定申告書においても、押印が不要となります。
なお、地方税関係書類についも、原則押印不要となります。
4.お見逃しなく
合計所得金額は、配偶者控除・扶養控除の適用判定の際に使用します。
合計所得金額は、次の手順で計算します。
①各種所得の金額を計算
②損益通算
③総合課税の金額を合算。その際、総合課税の長期譲渡所得の金額と一時所得の金額は、それぞれ1/2を乗じて合算
④総合課税の金額と分離課税の金額を合計する。その際、繰越控除は適用しない。
なお、確定申告不要とした配当所得は、合計所得金額には含めませんのでご留意ください。