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《番外編》少数株主対策‼️所在不明株式の売却制度‼️

1.はじめに

事業承継の成功の鍵は、少数株主の保有する株式をいかにオーナー社長へ集約するかにかかっています。

前回は、株式の集約方法の1つである株式併合についてご説明しました。

参照:《番外編》少数株主対策‼️キャッシュアウト‼️株式併合‼️

https://ameblo.jp/ana-partners-2020/entry-12650821613.html

 

今回は、所在不明株式の売却制度についてお伝えします。

なお、第一優先は、オーナー社長と少数株主との交渉による合意で株式を取得することです。あくまでもキャッシュアウトは最終手段です。

 

2.所在不明株式の集約について

中小企業では、元役員や元従業員が株主のままとなっていることがあります。実務では株主である元従業員等が音信不通になったり、所在不明になっていることが頻繁にあります。そのため、株式を集約する際に、元従業員等との合意により株式を取得することは困難を極めます。

 

3.所在不明株式の売却制度とは

そこで、少数株主対策の切り札の一つである所在不明株式の売却制度の利用が考えられます。

この制度を利用すると、所在不明株主の同意なく、その株主を会社から締め出すことができます。

 

4.要件

要件は2つです。

株主に対して、株主名簿に記載がある住所に通知・催告が5年以上継続して到達しないこと。その際、証拠確保の観点から、招集通知と返戻封筒を保存すること。

 

②継続して5年間配当を受領していないこと(過去5年間配当してない会社はこの要件を満たす)。

 

5.手続き

①公告及び個別通知

会社は、所在不明株主等に3ヶ月以上の期間内に異議を述べることができる旨を公告し、加えて所在不明株主に株主名簿に記載のある住所等に個別通知する必要があります。

 

②売却

原則、所在不明株主の株式の売却は競売です。しかし、実務上は、裁判所に売却の申し立てを行い、裁判所の許可を得て、会社かオーナー社長等が買取ることになります。

なお、売却代金は会社の本店所在地にある法務局で供託手続きをすることになります。

 

6.所在不明株式の売却制度の問題点

毎年定時株主総会を開催していない場合又は定時株主総会の招集通知を送付していない場合は、今から定時株主総会の招集通知を5年以上所在不明株主に送付する必要があるため、すぐにこの制度を実行できないと考えます。